COVID-19疑いの患者さんが再び増え、安全に挿管できるようにIntuibation boxを用いていますが、救急外来にしか置いてませんでした。今回ICU管理用にもう一つ作りました。
前回Intubation boxを作ってみたところ、作り方の問合せが何件かありましたので、前回と全く同じではあるのですが、より詳細に「簡便なintubation boxの作り方」の説明をしておきます。
Intubation boxの意義をご存じない方はNEJMにインパクトのある動画がありますので、こちらを参照してください。
さて作り方ですが、まずホームセンターで以下の物品を揃えます。2000円台で揃うと思います。
塩化ビニル製パイプ φ16mm 1メートル ×4本
L字コネクタ ×8
T字コネクタ ×6
透明ゴミ袋 90L(周囲径1800mm)
他に以下の3つも必要です。
メジャー
パイプカッター:のこぎりでも代用可能
塩化ビニル用接着剤:ほかの接着剤でも代用は可能
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まずは材料を切りそろえます。4メートル分購入していれば以下のように端材はほとんどでることなく、ちょうど足りると思います。
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切るときにはノコギリを用いる手もありますが、面倒なので私はパイプカッターを用いました。パイプカッターも小さい奴ならば1000円程度で購入できます。くるくる回すだけでステンレスパイプも綺麗に切断できるので、DIYする人には必須なアイテムです。
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組み方は以下のような感じです。36mmのパイプはコネクター替わりの部品です。これを2セット作り、その間を3つあるTコネクターに406mmのパイプで橋渡しする感じです。
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これが組上がりです。接着剤の種類によりますが30秒以内で固まってしまうものを用いたので、そのような場合は一度、仮組してから接着するほうが良いと思います。下の写真の状態で天井部分(上の写真の分)を外し、接着剤をつけて同部分を組み立てます。接着剤が固まったら、今度は底部分を分解し、接着剤をつけて組み立てます。なお、接着剤はLコネクターやTコネクターの内部にさっと塗るのがコツです。パイプ側につけると余剰部分があふれてきますのでやりにくいです。
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これだけで終了です。作成時間は30分もかからないぐらいでしょうか。
実際に使う向きに置き換えてみます。
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患者さんの位置のイメージ図です。パイプの位置が患者さんにあたらないようになっていること、挿管手技の時に邪魔になりないくい位置に配置されていると思います。なおこの大きさで作成すると、ストレッチャーでも用いることができます。
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ここに透明のビニール袋をかけます。アクリル板を用いた方法のほうが有名と思いますが、値段が高いことも問題ですが、実は機能性がよくありません。ビニール袋法だと患者さんの前胸部にビニール袋がある程度密着していますので、胸骨圧迫する人や介助者が飛沫を浴びることを防げますが、アクリル板ではそれが心もとない所があります。
ビニール袋は横500㎜、奥行き400mmですが、上記のサイズで作成すると少しだぶついています。ここがミソです。このだぶつきのために、ビニール袋と患者さんの密着度を高めつつも過度な圧迫を避けることができます。さらに挿管チューブや吸入チューブを介助者がビニール袋の外から保持することができます。これは結構助かります。
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見えにくくて強縮ですが一般的にビニールに切れ込みを入れる部位を上写真ではマジックで線を引いてあります。ビニール袋ではこのように切れ込みだけで十分で、腕とビニール袋の間には隙間がほとんどできません(下写真)。一方、アクリル板法では大きく穴を開けておく必要があるため、そこに手袋をつけたり、腕にフィットさせる伸縮性のある素材を追加するなどの工夫をしなければなりませんので、ちょっと大変だと思います。
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京都の感染者数は7月から8月にかけて急増しています。いかなる医療機関もCOVID-19対策が必要となっている現状において、今までintubation boxを作成していなかったが、今後必要になるという施設もあると思い、この度、再投稿させて戴きました。参考になれば幸いです。
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実際に使用する時にはエアロゾルを減らすため、このboxの中に吸引チューブを入れて常に陰圧となるようにしてください。
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